2022/10/28 12:04


こんにちは、最近、新作ブレンドのリリースが続き、いつも以上に紅茶を飲みまくっている遠藤です。

もうすぐ11月1日、日本紅茶協会が定める「紅茶の日」ですね!!なんせ、私は紅茶が好きすぎて脱サラしてしまった紅茶狂いですから、「紅茶の日」とか言われるとそれだけでワクワクしてしまいます。今日は、私と紅茶の出逢いについて、少し長くなりますが、語らせていただいてもいいですか?

 

私が紅茶と出会ったのは、今から約15年くらい前になります。私は学生時代から京都に7年間住んでいて、結婚を機に自分のふるさとである鳥取県に帰ったのですが、私がいなかった7年の間に地元の友達は、仕事をしていたり、家庭を築いていたり、みんな、すでにそこに生活の基盤みたいなものを持っていたのですが、私は空白の7年があって久しぶりに戻ってきた地元で、今みたいにSNSも浸透していなくて、mixiをしてる人が少数いるくらいで、簡単に人と繋がれない頃だったんです。


友達にも会わずに、1人で家にずっといたら、家事は全然、嫌いじゃなかったのですが、やっぱりちょっと気持ちが落ち込んでしまってですね・・・心配した旦那さんが職業安定所に行って「君に合いそうな会社があるよ・・・」っていくつか求人票を持って帰ってきてくれたんです。近所のちょっとオシャレなスーパーマーケットに小さなカフェがあって、私は求人票だけ握って面接に行ったら、自社でコーヒーを焙煎している会社さんで、当時、若かった私は、コーヒーが飲めないのに、よくわかっていないまま、コーヒーカンパニーの面接を受けて、見事にコーヒーが飲めないまま、入社しちゃったんですよ。当時のことを振り返って、「あれは紅茶と出逢うための運命だった」とちょっとかっこいい感じに言う日もありますが、どう考えても、ただのおバカさんです。


そんなこんなで配属されたカフェでは、パートさん達に〝係り〟というか、持ち回りの〝担当〟みたいなものがあったのですが、私、〝紅茶の係り〟になったんです。コーヒーが飲めなかったもので!!(笑)私は、せっかくだから、紅茶が売れるように全力で頑張ろうと思って、毎週、紅茶のアレンジメニューを作って限定で出したり、「紅茶月間」だとか「紅茶フェア」だとか企画書を出して・・・誰にも頼まれてないのに、勝手にディスプレイなんかも変えちゃったりしてですね。ほんと頑張ってたんですよ?若くてエネルギーの有り余っていましたし、なんせ紅茶係りですから!(笑)

 

そんなある時、当時の会社の社長が店舗巡回に来られて「あれ?なんで、こんなに紅茶が前面に出てるの?」って言われたんです。そうなりますよね?なりますよねーーー?だって、コーヒーの会社なのに、なぜか勝手に紅茶を猛アピールしてる奴がいるんですから・・・最初は、社長も「うちはコーヒーの会社なのに、遠藤さんは、コーヒーが飲めないのか・・・」って、とても残念がられていたみたいなんですけど、数ヶ月経ったある時、お店に電話がかかってきたんです。「遠藤さんってさ、紅茶が好きだったよね?明日、研修があるんだけど、紅茶の試験を受けてみない?」って・・・

 

その会社が、新規事業でティーブティックを出すことになり、ドイツの老舗紅茶メーカーを扱っていたのですが、スタッフが認定試験をパスして、紅茶の資格を取らなければならなかったそうで、偶然、社長が前日になって急に「そういえば、あの子は紅茶が好きだったなぁ」と私のことを思い出してくださったんでしょうね?私はもちろん、二つ返事で喜んで(本当に軽い気持ちで)ワクワクしながら、その研修と試験に行かせていただくわけです!!なんせ、紅茶係りでしたから!(笑)


ところが・・・研修の日に会場に行くと、めちゃくちゃ分厚い資料を渡されて・・・トレーナーの先生から「明日の午後の試験で、◯名以上が、◯点以上で試験をパスしなければ、認定店の許可はできません」って言われたんですよ。私は、紅茶を飲むのは好きでしたが、まともに紅茶の勉強したことがなかったので、これはマズい・・・とそこでやっと、コトの重大さに気付いたんです。責任重大じゃん!!!って。すぐに旦那さんに電話してですね。「紅茶の試験に絶対に合格しないと行けなくなりまして、ワタクシ、今夜は帰りませんので、どうか探さないでやってください。」と言いました。旦那さんは当然「いやいや、どうした・・・笑」となりますよね?そこで事情を説明して、1度お家に帰って、お風呂に入り、すっぴんのまま試験会場のすぐそばのファミリーレストランで、朝まで一睡もせずに勉強して、早朝にそのファミレスのお手洗いで、こっそりメイクをさせていただいて、試験に臨みました。テイスティングと筆記試験とあったのですが、なんと私はその試験で日本一の成績を取ってしまったんです!!一夜漬けで!!(笑)色々な方がいまだに、日本一なんてすごいですね!!と言ってくださるのですが、ここだけの話、本物の一夜漬けなものですから、大きな顔はできませんよね?(笑)まぐれもいいところです。

 

実際に試験は難しくて、半分以上のスタッフさんが落ちてしまって、4名くらいしかティーアドバイザーの資格をもらえなかったんです。ドイツはもともとマイスター制の国ですし、妥協しないというか、本当に厳しいんです。合格者が少ないわけですから、仕方ないですよね?私はすぐにそのティーブティックに配属されることになりました。でも、そこはコーヒーの会社ですから、お店がオープンした時に配属された他のスタッフさんは、バリスタになりたいとか、焙煎がしたいとか言って異動願いを出すものですから、最後は私がその会社で唯一、紅茶の専属スタッフになりました。本当にたった1人・・・だって、コーヒーの会社ですもん。

 

そうして、はじめて私はドキドキしながらお客様に紅茶をお選びしたり、1年くらい経つと紅茶のおいしい淹れ方をセミナーでお教えしたりするようになるんですけど、それぞれのお客様に合う紅茶をご紹介したいとか、もっと上手に淹れ方をお教えしたいと思うようになると誰に言われなくても勝手に勉強するようになるんです。紅茶の勉強しているうちに知識が増えて、またさらに興味が湧いて紅茶を好きになり、興味がわくとまたさらに勉強する・・・というスパイラルにハマって、私は、どんどん紅茶の世界に魅了されていきました。

 

そして、また次の紅茶の試験を受け、さらにまた次の試験を受け・・・と最後は海外の産地に行ったり、紅茶が好き過ぎて脱サラしちゃったりして、今があるんですけど、長くなっちゃうので、この続きはまたお話しますね。

 

そんなこんなで、私はコーヒーが飲めないのに、コーヒーの会社に入社してしまい、コーヒーが飲めなかったから、〝紅茶の係り〟をさせてもらって、せっかくだからと一生懸命やっていたら、なんだかよくわからないまま、紅茶の試験を受けることになり、気がついたら、紅茶の専属スタッフになっていて、スリランカまで行って、最高位の資格を取得してゴールドティーマイスターになっていて、そして、ついには自分で紅茶の会社まで作ってしまいました。今、振り返ってみると、本当にいつもシンプルに「ただ目の前のことを一生懸命やっていた」だけだったのですが、いつの間にか、気づいたら紅茶の世界にどっぷりとハマっていて、また一生懸命やっていると、何かに導かれるように、いつもチャンスや人に恵まれて、ずっと紅茶から離れずにやってきました。そして、紅茶のお仕事に就いて、もうかれこれ15年くらいの月日が経ちました。こうして毎年「紅茶の日」を迎える度に、飽きもせず、いまだに紅茶が大好きで、飽きもせず、毎日、紅茶を飲んでいて、飽きもせず、今でも紅茶の勉強に夢中で、飽きもせず、お客様にも紅茶の魅力や素晴らしさを伝えたくてたまらない自分がここにいることに、本当にビックリしていまいます。

 

みなさん、今、何か好きなことがある人は、それはとても幸せなことで、その想いを大切にしていただきたいと思いますし、そして、今、好きなことや自分のやりたいことが見つからなくて、迷ったり焦ったり悩んだりされている人にも「大丈夫」と言って差し上げたいです。だって、私は、ただコーヒーが飲めなくて、たまたま〝紅茶の係り〟になっただけで、あまり深く考えずに、目の前のことを一生懸命やっていたら、いつの間にか大好きになっていただけなんです。その間もいろいろなモノに出逢ってきたはずだけど、たまたま紅茶が続いて、紅茶が残っただけなんです。めちゃくちゃ努力して、好きになろうとしたわけでもなく、何か特別なことをしたわけでもなかったけれど、今は紅茶がとても好きです。だから、きっと「大好き」までいかなくても、「心地よい」何かに、出逢えるまで、気長にゆっくりと待てばいいと思います。紅茶をおいしく淹れるのには、「蒸らし時間」が必要です。「待つ」ことも、とても素敵な時間なんです。だから、〝今〟を〝今日〟を大切にして、〝目の前の人〟を大切にして、〝当たり前に見えること〟に感謝して、ゆっくりと丁寧に紅茶でも淹れながら、このあなたと茶葉の「蒸らし時間」を楽しんでください。私も今年も「紅茶の日」を迎えられることに感謝して過ごしたいと思います。

みなさんの今日も素敵な日になりますように。



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